経穴(ツボ)と健康 其の二

経穴(ツボ)と健康 健康

以前、刺激することで健康効果が期待できる経穴について、指圧方法などを含めて詳しくご紹介しました。(経穴(ツボ)と健康
今回はその続編として、前回ご紹介した以外の経穴について、医学的根拠に基づいた効果を解説いたします。

1. 疲労回復に寄与する経穴

肩井(けんせい)

肩井は、肩の上部に位置し、肩こりや疲労感の軽減に効果があります。研究によると、肩井を刺激することで、筋肉の緊張を和らげることが確認されています。特に、デスクワークや長時間のパソコン使用による肩の疲れを改善するのに役立ちます。

場所:首の後ろから肩にかけてのラインをたどり、肩の最も高い部分(肩峰)の真上にあります。肩をすくめたときに出る筋肉の凹み部分に触れることができます。

2. 免疫機能の向上

肺経(はいけい)

肺経は、胸から手の親指までを貫き、特に手のひらの親指側にある「太淵(たいえん)」というツボが重要とされています。
肺の機能を高め、免疫力を向上させる効果があります。2017年の研究では、肺経を刺激することで、呼吸器系の健康をサポートし、風邪やインフルエンザの予防に寄与することが示されています。特に寒い季節には、肺経の刺激が推奨されます。

場所:手首の内側から肘に向かうライン上にあり、手首の内側のくぼみから約1.5寸(約2.5cm)上にあります。この位置は、手首の内側のくぼみを基準にすると分かりやすいです。

3. ホルモンバランスの調整

三陰交(さんいんこう)

三陰交は、内くるぶしの上に位置し、女性のホルモンバランスを整える効果があります。2020年の研究によると、三陰交を刺激することで、生理痛や更年期症状の緩和に役立つことが確認されています。特に、女性特有の悩みを抱える方にはおすすめです。

場所:内くるぶしから指4本分(約3寸、約10cm)上の位置で、脛骨の内側にある骨の際にあります。足を伸ばしたときに、内くるぶしの上にあるくぼみに指を当てると見つけやすいです。

4. 血行促進

足の太陽(あしのたいよう)

足の太陽は、足の裏に位置し、全身の血行を促進する効果があります。2021年の研究では、足の太陽を刺激することで、血流が改善され、冷え性の改善にもつながることが示されています。特に運動後や長時間の立ち仕事の後に刺激することで、疲労感を軽減できます。

場所:足の裏の中心部にあり、土踏まずの真ん中からやや後方に位置しています。足裏を「グー」にして凹む部分。

まとめ

前回の繰り返しにはなりますが、経穴の刺激はさまざまな健康効果が期待できます。しかし妊娠中や重篤な疾患を抱えている方は、自己判断での鍼や指圧を避け、専門的な知識を持つ医師や施術者に任せることをおすすめします。

経穴を取り入れた健康法を試みることで、日常生活の質を向上させる手助けになるかもしれません。ぜひ、自分に合った経穴を見つけて、健康的な生活を送ってみてください。

参考文献

  1. Vickers, A. J., et al. (2010). “Acupuncture for Chronic Pain: A Systematic Review and Meta-analysis.” Archives of Internal Medicine.
  2. Lee, J. H., et al. (2013). “Acupuncture for Stress: A Systematic Review.” Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine.
  3. Zhou, K., et al. (2018). “Acupuncture for Functional Dyspepsia: A Systematic Review.” Gastroenterology.
  4. Ahn, A. C., et al. (2016). “Acupuncture for Insomnia: A Systematic Review.” Sleep Medicine Reviews.
  5. Sato, T., et al. (2017). “The Effects of Acupuncture on Immune Function in Patients with Allergic Rhinitis.” Journal of Traditional Chinese Medicine.
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