精製植物油は、現代の食生活において非常に一般的で、多くの家庭で揚げ物や炒め物、ドレッシングなどに日常的に使用されています。
コストパフォーマンスや調理のしやすさから選ばれることが多いですが、人体にさまざまな影響を与える可能性があると言われています。
今回はこれらの影響について解説します。
精製植物油とは?
精製植物油とは、植物から取り出した油を精製して不純物を取り除いたものです。
油を作るプロセスでは、圧搾法や溶剤抽出法を使用し、その後さらにきれいにするための精製処理が行われます。
精製植物油の種類
精製植物油にはさまざまな種類があります。
主なものは以下の通りです。
- 大豆油:大豆の種子から抽出。 日本でも広く使用されており、サラダ油として人気です。
- 菜種油: 菜種の種子から抽出。健康に良いとされる脂肪酸を含み、調理全般に使われます。
- パーム油: オイルパーム(アブラヤシ)の果実から作られます。熱帯地域で生産され、加工食品や揚げ物に多く使われます。
- コーン油: トウモロコシから抽出され、揚げ物や炒め物に適しています。
- ひまわり油: ひまわりの種から抽出され、軽い風味が特徴です。
- グレープシードオイル: ブドウの種から作られ、軽やかな味わいでドレッシングなどに利用されます。
精製植物油の健康への影響
メリット
- コレステロール値への影響:精製植物油は、動物性脂肪に比べて飽和脂肪酸が少なく、コレステロール値を改善する可能性があります。
- 調理における高温耐性:精製された油は、加熱に強く、揚げ物や炒め物に適しています。
デメリット
- トランス脂肪酸のリスク:部分的に水素添加された油にはトランス脂肪酸(次項で詳述)が含まれることがあり、心疾患のリスクを高めるとされています。
- 炎症を引き起こす可能性:一部の精製植物油は、オメガ-6脂肪酸が多く含まれ、過剰摂取が炎症を引き起こす要因になることがあります。
トランス脂肪酸
平均的な日本人より多いトランス脂肪酸摂取量を基にした諸外国の研究結果によると、トランス脂肪酸の過剰摂取により、心筋梗塞などの冠動脈疾患が増加する可能性が高いとされています。
引用:厚生労働省ホームページ
- 主な源: トランス脂肪酸は、部分的に水素添加された植物油から生成され、焼き菓子やフライドポテト、マーガリンなどの加工食品に多く含まれています。これは、多くの栄養学や食品科学の研究で確認されています。
- 健康への影響: トランス脂肪酸の摂取が悪玉コレステロール(LDL)を増加させ、善玉コレステロール(HDL)を減少させることは、多くの疫学研究や臨床試験によって支持されています。これにより、心疾患や脳卒中のリスクが高まることも広く認識されています。
- 摂取の推奨: 世界保健機関(WHO)や多くの国の健康機関は、トランス脂肪酸の摂取を減らすことを推奨しており、一部の国ではトランス脂肪酸の含有量を制限する法律が制定されています。
精製植物油の選び方
精製植物油にはトランス脂肪酸が含まれることがありますが、それぞれオメガ脂肪酸も含まれており、適量であれば健康効果が期待できます。
- オメガ3脂肪酸: 主に青魚(サバ、サンマなど)や亜麻仁油、大豆油、菜種油、チアシードに含まれています。心臓病のリスクを減らす効果や、炎症を抑える作用があるとされています。
- オメガ6脂肪酸: 植物油(大豆油、菜種油、ひまわり油、パーム油、コーン油、グレープシードオイルなど)やナッツ、種子に多く含まれています。体内でエネルギー源として利用され、細胞の成長に重要ですが、過剰摂取は慢性炎症を引き起こす可能性があるため、バランスが重要です。
- オメガ9脂肪酸: オリーブ油やアボカド、ナッツ類に含まれています。体内で合成できるため必須脂肪酸ではありませんが、心臓の健康をサポートし、悪玉コレステロールを減少させる効果があるとされています。
まとめ
精製植物油は現代の生活において欠かせない存在ですが、健康への影響を理解し、正しく使用することが重要です。
これらの油にはオメガ3、6、9脂肪酸が含まれ、適量であれば健康効果が期待できますが、過剰摂取はさまざまな弊害を引き起こす可能性があります。
特にオメガ6脂肪酸の過剰摂取は炎症を引き起こすことがあります。
また、トランス脂肪酸のリスクも考慮する必要があります。私自身は基本的にオリーブオイルのみを使用し、他の油は避けています。選び方や使用方法に注意を払い、バランスの取れた食生活を心がけることで健康を維持しましょう。